三菱ジープの軌跡.その3
JH4型エンジンの展開
また技術援助契約締結と同時に、京都製作所ではFヘッド・ハリケーン・エンジンの国産化に取り組み、その第1号機である4気筒ガソリンエンジンが、1954(昭和29)年12月10日に完成した。型式名を「JH4型」として、1955(昭和30)年から生産が開始され、1956(昭和31)年1月にはウイリス社での型式認定試験にも合格し、これを搭載したジープは1957(昭和32)年6月に政府(特別調達庁)から大量に受注したのを皮切りに、本格的に量産されるようになった。また、JH4型エンジンは単にジープ用としてではなく、新三菱重工業のその後の自動車事業展開に重要な意義を持つエンジンとなった。
京都製作所では、4気筒ディーゼルKE21型ディーゼルエンジン(1955年3月生産開始、トラック用)、KE25型ディーゼルエンジン(1957年3月生産開始)を生産していたが、新たにこのJH4型をベースに、KE31型ディーゼルエンジン(1957年4月生産開始)等を次々と開発した。
中でもKE31型はわが国最初の小型高速ディーゼルエンジンとして、1959(昭和34)年には自動車技術会賞を受賞し、中型4輪トラック“ジュピター”やライトバス“ローザ”にも搭載された。そして、その後のKE36型6気筒ディーゼルエンジン(1960年2月、“ジュピター”および“ローザ”用)、KE63型(1963年7月、“ローザ”用)、ならびに乗用車“コルト1000”用KE43型ガソリンエンジンや“デボネア”用エンジンKE64型などへ発展の技術的基礎となったのである。