エンジンの名前

昔の三菱自動車のエンジンにはアルファベットや数字での型式だけではなく、1969年のサターン以後1979年のシリウスに至るまで排気量別にエンジンには天体の名前が付けられていました。
それが、サターン・ネプチューン・アストロン・バルカン・オリオン・シリウスという各エンジンの名前です。
しかしトヨタ自動車が自社製エンジンをレーザーエンジン、日産自動車も対抗してかプラズマエンジンと呼びだしました。その2社に感化されたのか三菱自動車も1986年からは全部のエンジンを纏めてサイクロンエンジンと呼ぶようになり個別のエンジンの名前は無くなってしまいました。

何故?三菱自動車がエンジンに態々天体の名前を付けていたかというと三菱自動車はもともとは三菱重工の自動車製造部門です。
三菱重工は戦中に航空機用レシプロエンジンを製作していました。その時に制作されたエンジンには、瑞星・金星・火星・明星と天体にちなんだ名前が付けられていました。三菱重工傘下の三菱自動車はその伝統を受け継ぎ個別にエンジンに天体の名前を付けていたのです。
昭和61年8月まで販売されていた三菱ジープのガソリン車に搭載されていたのがアストロンエンジンです。因みにアストロン/ASTRONとは古いギリシア語で「星」という意味で、昔の4G系のエンジンのヘッドカバーにはASTRONのプレス文字まで入れられていました。
エンジンに名前を付けていたのは日本国内の自動車メーカーでは三菱自動車だけでしたので出来ればこの拘りは続けて欲しかったものですね。