三菱ジープ40系

三菱ジープ40系

クロカンも得意な大量人員輸送ジープ
J20系のロングホイールベース版として登場したのが、このJ40系である。昭和1962(昭和37)年のデビュー時から、J44が登場する1970(昭和45)年までの間はJ32という型式名であり、シャーシーもJ30系をベースとしていたため、本来はJ30系のキャンバストップ版であるとの見方もできる。しかし、林業や建設業向けという使用目的を考えれば、これはJ20系の発展形という見方が妥当であろう。したがって、ここではJ32を、J20系のロングホイールベース・モデルであるJ40系に分類してある。
J40系最大の特長は、その人員輸送力である。フロントのベンチシートに3名、リアの左右対座式ベンチシートに6名の、計9名という乗車定員は、山間僻地の工事現場などへの人員輸送に、絶大な威力を発揮した。もちろん、リアシートをたためば、ロングホイールベース車ならではの広大なカーゴ・スペースが確保でき、貨物輸送車としても他のジープを大幅に上回る荷役性を誇った。
また、同じシャーシーを持つJ30系に比べると、質素なシートのキャンバストップ・モデルゆえ、居住性こそ劣ってはいたものの、ディパーチャー・アングル等、リアまわりのグラウンド・クリアランスが大きく、悪路走破性では一歩先を行っていた。
他のジープが細かい仕様変更を繰り返していたのに比べて、J40系には、他のモデルに合わせたエンジンの変更以外、特に大きな変更はなかったので、外観から型式/年式を判別するのが難しいモデルでもある。
仕様上、当然のことながら個人ユーザーからの需要もなく、非常に狭い範囲のユーザー層をターゲットとしていたため、他のジープに比べて登録台数は少ない。現在、ごく一部のクロカン・マニアが、改造を施して個人所有している例もあり、ジープマニアの中でもクロウト受けする一台となっている。