Jeep.その2

いったい何の為にそれほど荒れくれた大地の上を走ろうとするのか。
そこにどれ程の歓びが隠されているというのか。
何の得にもならず誰に誉められる訳でもない。
ただ走りたいから走る!。
ヒラリーが事もなげに我々に語ったようにそこにオフロードがあるからフロアドライブシフトレバーを四輪駆動へシフトしたにすぎない。
小川の水を汲みだった一杯のカフェをドリップし入れたての熱いところを喉の奥へと流し込む。
このマグカップとももう何年付き合ったことだろう。
どんな優れた洗剤を使ってみたところで洗い流すことの出来ない数々の思い出が染みついている。
なにものにも侵されていない自然と対等に接しながらお気に入りのフレンチローストを飲る。
ただそれだけの行為にすぎぬのだが、逆にいえばこれ以上の歓びも今は知らない。